今回、地域の予防医療の要となる健康管理センターのスタッフにお話を伺い、施設の特長や今後の展望について詳しくお聞きしました。このセンターは、病気の早期発見、生活習慣への具体的アドバイスを提供しており、受診者1人ひとりの健康を守るためのさまざまな取り組みが行われています。
予防医療の最前線に立つ施設
―まず、この健康管理センターの主な役割についてお聞かせください。

医師: 当センターは、地域における「予防医療の最前線」に立っているという想いがあります。病院併設という点が強みであり、単なる健診施設にとどまらず、自覚症状がない早期の段階で見つかった病気に対し、速やかに精密検査や治療に対応できる体制を整えています。
―具体的には、どのような体制が整っているのでしょうか。
看護師: たとえば、人間ドックや通常の健康診断で急を要する異常が見つかった場合、センター内の医師が当日迅速に精密検査を行ったり、外来部門と連携しすぐに治療を開始することができます。この部門間における密な連携体制により、受診者が安心して検査を受け、その後の治療も迅速に進めることのできる環境を整えています。また、後日郵送するドック結果や健診結果を見て、当院への受診を希望された場合の予約体制も整えています。
事務スタッフ:これは医師、保健師、看護師、検査技師、事務職も含めたあらゆる多職種のスタッフが、フィードバックや話し合いを重ねてブラッシュアップを続けることによってスムーズな連携につなげられていると思います。
女性に配慮した検査環境と、ワンストップ健診
―女性受診者向けの検査にも力を入れていると伺いましたが、その点について詳しく教えてください。

医師: そうですね。近年は特に女性受診者への配慮を強化しています。女性特有の疾患に対する検査体制を整え、安心して検査を受けられる環境づくりに努めています。具体的には、女性医師や技師を増やし、子宮がん検診や乳がん検診は女性スタッフが担当することで、受診者がリラックスして検査を受けることができるよう配慮しています。
看護師: 検査の流れや時間配分を工夫することも、受診者の負担を減らすことにつながります。当センターでは、人間ドックと乳がん検診や子宮がん検診を同日に受けられることも大きな利点です。忙しい現代女性にとって非常に便利だと思います。乳がん検診にはマンモグラフィーと乳腺エコーの検査があります。子宮がん検診は頸がん検査に加え、経膣エコー検査や体がん検査も受けていただくことが可能です。子宮がん検診は、毎日女性医師が担当しているため女性ならではの悩みも相談していただけます。
事務スタッフ: 特に働く女性や育児中の方にとって、検査を一度に済ませられるのは大変助かるという声をいただいています。
内視鏡センターの高い専門性
―内視鏡検査についても充実していると伺いましたが、どのような特長があるのでしょうか。
医師: 内視鏡検査は、当センターの強みの一つです。専門性の高い医師による内視鏡検査が迅速かつ正確に行われており、病変の早期発見に力を入れています。現在、8台の内視鏡カメラを使って検査を行っており、3列体制で検査対応することで、待ち時間が少なくスムーズに対応することが可能になっています。
看護師: 更なる精密検査や治療が必要な場合で、もし当院での対応が難しい場合は、受診者さんの希望に応じて、地域の基幹病院や大学病院との病診連携によりスムーズに予約がとれる体制を整えています。
生活習慣病の予防と保健指導
―生活習慣病の予防に関する取り組みも行っているのでしょうか。

医師: もちろんです。当センターでは、がんや心疾患、脳血管疾患などの三大疾病に対する予防を重視しています。人間ドックや健康診断の結果を基に、保健師や看護師が受診者の生活習慣を見直し、健康を維持するための具体的なアドバイスを提供しています。
保健師: 「人間ドックを受けた今日この日を、自分の生活を見つめ直すきっかけにしてほしい」という思いで保健指導を行っています。具体的には、検査結果や受診者さんのお話をもとに、お一人おひとりにあった生活習慣の改善方法を提案しています。たとえば、食事内容の見直しや、日常生活の中で取り入れられるちょっとした手軽な運動など、「今日からチャレンジしてみようかな」と思ってもらえるような提案を心がけています。また、今回の検査結果を提示するだけでなく、昨年度の検査結果とも比較することで、運動や食生活の改善に取り組んだ結果が数値として見えてきます。自分の頑張りが数値として確認できることを喜ばれる受診者さんもおられます。「受診者さんが改善できそうな健康づくりを一緒に考え、その行動を一押ししながら応援する」そんな気持ちで保健指導に取り組んでいます。
企業向けの人間ドックとその強み
―企業向けの人間ドックも実施されていると伺いましたが、どのような強みがあるのでしょうか。
事務スタッフ: 多くの企業とも契約しており、定期的な人間ドックや健康診断を提供しています。特に、病院併設型の健診施設である点が企業から高く評価されており、多くの企業様から社員の方々の健康管理を任せていただいています。
看護師:受診したら終わりではなく、個人個人に合わせて再検査の受診勧奨をしています。生活習慣病リスクが高い方へは、健診結果と一緒に健康管理チェックのパンフレットを同封し、まずは生活習慣の改善に取り組んでいただいた後に再検査を受けていただけるようにご案内しています。また、精密検査や再検査が必要な検査項目がある方へは、検査結果と一緒に紹介状を同封し、医療機関への受診をご案内しています。一定の期間が過ぎても受診されていない場合は、「そろそろ受診の時期ですが、検査には行かれましたか」や、「精密検査が必要となっていましたが、あれから受診はされましたか」など、お電話をすると、「行こうと思っていたのですが、忙しくてまだ行っていないです」と言われ、その場で受診予約をされる方もおられます。そういった人間ドック受診後のフォローアップも病気の早期発見につながっていると思います。
今後の展望
―最後に、今後の展望についてお聞かせください。
医師: 予防医療をさらに充実させ、受診者に対するケアを強化していきたいと考えています。予防医療は、病気の早期発見だけでなく、生活習慣の見直しや健康維持にも大きな役割を果たしています。今後もこの点を軸に、地域の皆さんに貢献していきたいと思います。
保健師: 自分の生活をふり返っていただき健康の大切さを知っていただくためのきっかけづくりに力を入れていきたいです。生活の中で実践できる改善策を提案することが、将来的に大きな病気を防ぐための第一歩となることを目指していきます。
看護師:検査だけで終わらず、その後も継続的にフォローアップを行うことが当センターの強みの一つです。人間ドックをきっかけに、検査結果での危険信号をキャッチし早めに生活習慣の見直しや、早期に受診し病気の予防に役立てていただきたいと考えています。人間ドックを受けて終わりとならないよう、お一人おひとりのその後を大切にしていきたいと思います。
事務スタッフ:ちょっとしたフォローで、手遅れになることを防げます。実際、「あの時、電話してもらって本当に助かった」と感謝されることも多いです。引き続き、受診者さんから「ここなら安心して通える」というお声をいただけるよう邁進していきたいと思います。