トップページ  採用  人生の物語とともに歩む「訪問看護ステーション」の役割

訪問看護ステーションの成り立ちや特徴について

― 訪問看護ステーションの成り立ちや特徴について教えてください。

A:訪問看護ステーションは、法人の在宅介護部門として在宅介護支援事業所(ケアプランセンター)や介護老人保健施設、訪問看護ステーション2カ所から成り立ち、それぞれ連携して活動しています。「訪問看護ステーションなでしこ」は1995年、奈良市内で2番目に開設された訪問看護ステーションです。

B:西奈良中央病院と密接に連携しています。特に緩和ケア病棟と連携して、「緩和が出来て少しでも残された時間をご本人が望む場所で」とご希望された時はご自宅で訪問看護師が支援しています。
情報の共有を行いながら在宅ケアにスムーズに移行できるようサポートしています。病院内の専門家の協力を得ながら、患者さんが最善のケアを受けられる環境を整えています。

A:最近始めたこととして、介護老人保健施設「大和田の里」の利用者さんが病状にあわせて、望む生活ができるかというケーススタディを、セラピストや相談員、訪問看護師で一緒に話し合っています。

地域に根差したステーションを目指して

― 西奈良中央病院は地域に根付いていますね。訪問看護も地域とのつながりが大きいのでしょうか。

B:訪問看護ステーションとしては、「地域に根差したステーションを目指します」と「その人らしさを大切にします」の2つを大事にしているので、地域イベントや勉強会を通じて、地域の人々の暮らしに関する支援を行っています。ステーションの中に地域の皆さんに来ていただけるように、勉強会を始めたんです。行政書士や製薬会社の方をお招きして、暮らしや法律、健康問題に関する勉強会を開催したりしています。私たちは、地域に開けたステーションになることを目指しています。

A:最初は勉強会のチラシを手配りしていましたが数人しか来てくれませんでした。しかし、 今では中に入りきれないくらいの多くの方々が勉強会に来てくださいます。地域の公民館などに行ってお話させていただいたり、自治会にも入らせていただき、清掃活動を一緒にさせていただいたりしています。

― 地域とのつながりを感じるエピソードを具体的に聞かせていただけますか。

A: 地域の人たちが見守りパトロールを行うときに、当ステーションが給水ポイントとして、冷蔵庫で冷やしたお茶を提供するなど、活動の支援を行っています。また、子どもの日や夏祭りなど地域のイベントでは、救護班として参加しています。地域イベントを盛り上げるために、救護活動を通して地域の方々との交流を深めています。地域の画伯の方から、「画を飾ってもいいですよ」と言う提案がありました。地域の方々の協力で、その方の絵が季節ごとに展示されていて、ステーションが地域コミュニティの一環として喜ばれています。

B:地域の方々のご協力もあり、質の高いケアを提供できる環境が整備されています。こんなこともありました。認知症の方が行方不明になったのですが、地域の方々や民生委員さんとの協力を得て、地域全体で協力して、最終的にはよく知っている民生委員さんが見つけてくれました。地域のつながりがあるからこそ、実現できることですね。一つひとつがつながっているんだなと感じます。

人生の最終段階をどこで過ごすか、一緒に考えられるステーションでありたい

― 一人ひとりの患者さんや家族の願いや思いに寄り添うためにも地域の方々が気軽に相談できるようにしておられるのですね。

A:地域に住み続けていたある患者さんは、要介護状態になる前にステーションにご相談に来てくださいました。その方がいよいよ人生の最終段階になられ「退院後に自宅での生活が難しい」と医師から告げられました。その時すでに訪問看護につながっていたので、ご家族はすぐにステーションへ相談をして下さることが出来ました。すぐに病院へ行ってご本人の希望に沿って、ご家族や地域の方々や多くの支援者との連携のもと、入念なケアプランを検討しました。支援を続けた結果、ご自宅での生活を継続することができました。そして、最期はご自宅でご家族に見守られ静かに亡くなられました。

― エンドオブライフ・ケア、最期の選択肢を尊重することも大事にされているのですね。

A:アドバンス・ケア・プランニング(ACP)*1につながるところです。その人がどう生きてきたか、最期をどうするか、私たちはその過程を大事にしています。だからこそ、この地域で住み慣れた人たちが、最期をどこで過ごすか、今病気になったり障害になったときにどうすればいいかということを、一緒に考えられるステーションでありたいなと思っています。

B:奈良市は24時間体制で見てくれるドクターが多いということもあって、おかげで今、ご自宅に帰せない人はいないと、私は思っています。独り暮らしの方でも、ご近所の皆さんが協力してくださり、近所の方たちがお看取りをされたケースもありました。「地域全体で最期の看取りが出来る」そんなフィールド作りのお手伝いが出来ればと思っています。

「グリーフケアも大切な看護」そう考えて始めた遺族会について

― 訪問看護で在宅看取りをおこなったご遺族との「遺族会」について。どのような活動をされているのですか。

A:在宅でのお看取りを支援し訪問看護が終了したあとも、ご遺族の方たちの悲しみや思いを共有することが大切だと考えご遺族のところを訪問してグリーフケアを提供しているのですが、「おじいちゃんが亡くなったのも悲しいけど、毎日来てくれていた看護師さんが突然来なくなるのも悲しい」と言われることがありました。そのような方々を支援できるようにと考え「遺族会」を企画しました。緩和ケア病棟やホスピスでは、遺族会をしている所があるようですが、訪問看護ステーションで遺族会をしているところは、当初は少なかったのです。今は、多くのご遺族が参加されています。

今後の展望について

― 今後の展望や思いを聞かせていただけますか。

A:一人ひとりの人生の「ものがたり」を大切にして、利用者さんとご家族の願いや思いを尊重し続けたいと思います。これからもそのために地域の方々と共に歩んでいきたいと考えています。

B:いろいろな取り組みはやりがいを感じるし、楽しんでいます。ステーションが、地域の方々が自然に集まってくるハブ(地域の中心、中継地)になることを願っています。

A:うちには認定看護師が2名(がん性疼痛看護認定看護師、訪問看護認定看護師)おり、また、スタッフにはエンドオブライフ・ケア協会の理事1名、認定ファシリテーター2名がいて、人材育成にも力を入れています。
離職率が低いためスタッフが継続的に一緒に学び、新たに加わったメンバーも勉強会に参加して、「いのちの授業」の勉強会を地域の人たちと一緒に開催したりしています。

B:訪問看護師だけでなく、歯科衛生士や管理栄養士、薬剤師、ケアマネジャー、ヘルパーなどさまざまな専門家と協力して、在宅ケアの質を高めていることも大切なことですね。

A:これからも地域のニーズに応じながら看護の質や在宅ケアの質も高めていき「この地域に必要とされる訪問看護ステーション」を目指していきたいです。



*1 将来の医療及びケアについて、 本人を主体に、そのご家族や近しい人、医療・ ケアチームが、繰り返し話し合いを行い、本人による意思決定を支援する取り組み